MAI-Image-2.6 のプロンプト:Microsoft に学ぶ4つの原則
Microsoft の MAI-Image-2.6 が Arena で2位に。この発表でより長く使えるのは、並べて公開されたプロンプトのほうです。4つの書き方と、どのモデルにも移せる4つの原則を読み解きます。

2026年8月10日、Microsoft AI は MAI-Image-2.6 を発表し、Arena のテキストから画像のリーダーボードで2位に入ったと述べました。MAI-Image-2.5 から全体で +79 Elo、文字レンダリング単体では +91 Elo の向上です。これが見出しですが、リーダーボードの見出しはたいてい早く古びます。
この発表でもっと長持ちするのは、もっと地味な部分です。MAI-Image-2、MAI-Image-2.5、MAI-Image-2.6 の各ページで、Microsoft はサンプル画像の裏にある実際のプロンプトを公開しました。これらは無作為な寄せ集めではありません。画像モデルへの書き方として明確に異なる4種類で、それぞれが具体的な仕事――描写する、圧縮する、編集する、参照する――をしています。
MAI-Image は OmniArt のモデル一覧にないので、これはここで動かせるモデルのレビューではありません。読み解くのは、そこに現れているプロンプトの技術です。技術は移せるからです。以下の4つのパターンは現行の実力あるモデルであれば同じように働き、結論の形はどれも同じです。プロンプトに何を入れるかが、どの失敗を引き当てるかを決めます。
MAI-Image 2、2.5、2.6 で何が出たのか
5か月足らずで3回のリリース、そのたびに重心が違います。
| リリース | 発表日 | Microsoft の位置づけ | Arena の主張 |
|---|---|---|---|
| MAI-Image-2 | 2026年3月19日 | 写実性、画像内の文字、豊かなシーン生成――「クリエイターとともに」 | モデルファミリーで3位 |
| MAI-Image-2.5 | モデルページ | 精密な編集、素材の正確さ、デザイン志向の出力。Pro / 標準 / Flash | テキストから画像で3位(2026年6月2日時点) |
| MAI-Image-2.6 | 2026年8月10日 | 文字レンダリング、ポートレートと3D、商用・シネマティックの仕上がり | テキストから画像で2位。2.5 比 +79 Elo |
MAI-Image-2.5 はファミリーにも分かれました。2.5-Pro はオブジェクトの一貫性と視覚的推論、2.5 は生成と制御可能な編集、2.5-Flash は Microsoft いわく旗艦モデルの半額未満で実運用に耐える構成です。2.5 のモデルページには「Image Arena Elo と1,000枚あたりの代表的な API 価格」の図があり、チームが何を最適化しているかがわかります。画質の頂点だけでなく、価格あたりの画質です。
2.6 については、まだ詳細が出ていない部分があるとしています。「複数の参照素材をまたいで扱うこと、より豊かなグラウンディング、推論・フォーマット・解像度に対するより強い制御」。公開されるまでは仕様ではなくロードマップの表明です。
原則1:長い構造化プロンプトは、事実をひとつずつ枠に入れる
MAI-Image-2.5 ページの写実サンプルの裏にあるプロンプトは約90語で、長さより構造のほうが興味深いものです。
A young woman in profile on a rooftop, blowing soap bubbles against an overcast sky. She has long straight black hair, windswept slightly, and wears a dark navy double-breasted school uniform jacket with gold buttons and a white collar. She holds a hot pink bubble solution bottle in one hand and a neon lime-green wand to her lips in the other. Five iridescent bubbles of varying sizes float around her.
Behind her: low-rise apartment buildings under a flat gray sky, a black metal railing, and weathered concrete underfoot. Film photography aesthetic.

文章としてではなく、フォームとして読み直してみてください。1文目は被写体・ポーズ・動作・空。2文目は髪と服装。3文目は小道具で、片手にひとつずつ。4文目は数えられる要素。そこにラベル付きのブロック――Behind her:――が環境情報をまとめて引き受け、最後に2語のスタイル指定で閉じます。
この構造の中で、実際に効いているのは3つです。
- 形容詞ではなく色名。「hot pink」「neon lime-green」「dark navy」「gold」「flat gray」。「明るい」でも「カラフル」でもありません。色名はモデルが満たすことも、目に見えて外すこともできる制約です。「vibrant」はそうではありません。
- 量の曖昧語ではなく数。「Five iridescent bubbles of varying sizes」は照合できますが、「some bubbles」はできません。公開された出力では実際にこの数が守られています。画像の前に立って数えられる――そこが要点です。
- 背景は自分の容器に入れる。
Behind her:が環境を囲うので、その細部が被写体の描写ににじみ出しません。長いプロンプトが崩れるのは、どの名詞にかかる修飾なのかをモデルが推測せざるを得ないときです。
スタイルの語は最後に置かれ、すでに完全に指定された場面に対してかかります。構図そのものを引っ張るのではありません。
ヒント
長いプロンプトは文章ではなく枠の並びとして書きます。被写体と動作、外見、小道具、数えられる細部、ラベル付きの環境ブロック、そしてスタイル。どの枠に属する語なのか自分で指させないなら、モデルにも指させません。
原則2:短いプロンプトは、比喩で構図を買う
MAI-Image-2 の発表では、まったく毛色の違うプロンプトが公開されました。約30語、文の形をとらず、重要度順に並んだ句だけです。
A glacier wall towering like a cathedral interior, deep blue ice with light refracting through layers, tiny human figure at base for scale, cinematic, cold mist in air, hyper-real detail

最初の句がすべての仕掛けです。「like a cathedral interior」は装飾ではなく、比喩の姿をした構図の指示です。大聖堂はヴォールト天井、奥へ後退する身廊、アーチ、対称性、そして奥から入る光を連れてきます。出力にはその5つが、氷で再現された形で揃っています。同じレイアウトを直接書けば30語かかり、しかもおそらくもっと硬くなります。
2つ目の有効な一手が tiny human figure at base for scale です。スケールは画像モデルがもっとも落としやすい要素です。テクスチャ自体は大きさを教えてくれないからです。位置を指定した人物の基準が4語でそれを固定し、出力の赤いジャケットは「epic, massive, enormous」をいくら積むよりも構図の仕事をしています。
末尾の語――cinematic、cold mist in air、hyper-real detail――は雰囲気とレンダリングの指示で、最後に来る理由は原則1のスタイル語と同じです。
つまりこの2つのプロンプトは、同じものの良い版と悪い版ではありません。別の道具です。
| 長い構造化プロンプトが向くのは | 短い積み上げプロンプトが向くのは |
|---|---|
| 服装・小道具・ブランドの細部が問われる案件 | 強い1枚を得て、そこから反復したいとき |
| 誰かが出力を要件と突き合わせる | 一覧よりも雰囲気が重要なとき |
| あとで再現する必要がある | ルックを探索しているとき |
| 数と色に妥協の余地がない | 良い比喩が構図を担えるとき |
原則3:編集では、1つのプロンプトで1つだけ変える
MAI-Image-2.5 のページは3つのプロンプトで編集を見せますが、目を引くのはどれも小さいことです。
Change the tote color to orange
Add peonies peeking out the tote
Edit this image to have the woman walking through the streets of New York City
1つ目の、変更前と変更後です。


プロンプトは6語です。動詞ひとつ、名指しされた対象ひとつ、目標値ひとつ。ついでに背景を変えろとも、アングルを変えろとも、光をよくしろとも言っていません。この抑制こそが技術です。**編集においてモデルのいちばん難しい仕事は、変えることではなく保つことだからです。**指示に足すものはすべて、やり直される可能性をひとつ増やします。
対象が名指しされている点にも注目してください。「the tote」はモデルに曖昧さのない参照先を与えます。「オレンジにして」では、バッグ・テーブル・壁のどれなのかをモデルが選ぶことになります。
3つ目のプロンプト、被写体をニューヨークへ移すのは、はるかに大きな操作に見えますし実際そうです。それでも操作は1つであり、残すべきものを名指ししています――「the woman」です。都市を変え、服も変え、時間帯も変えるプロンプトでは、どの指示が悪い結果を招いたのか判断できません。
警告
小さな編集の連鎖は、小さなずれの連鎖でもあります。気にしている細部は最後にまとめてではなく、毎回のあとに確認してください。肌の色、ロゴの形、文字は、複数回を重ねると最初に静かに劣化します。
原則4:文化的な参照は安い。ただし買えるのは場面だけ
公開されたなかで最短のプロンプトは8語です。
Chihuahua in Abbey Road album cover with moptop wig


8語がきわめて具体的な場面を再構成します。横断歩道、奥へ抜ける並木道、左に停まった白いビートル、当時の車、60年代のコートを着た歩行者、そして正面からの平坦なフレーミング。これを言葉で書き下せば1段落かかり、それでもビートルは取りこぼすでしょう。Microsoft はこれを「世界知識と推論」に分類していますが、それは適切です。よく知られた参照は、使えるなかでもっとも圧縮されたプロンプトです。
同時にもっとも制御しにくくもあり、この例はその限界がどこにあるかをはっきり示します。2枚を見比べてください。元画像は黒背景の前の、クリーム色で短毛、耳の立ったチワワです。出力は白と茶の、毛質も体型も耳も違う犬です。参照は場面を買いましたが、被写体は保てませんでした。
この区別が実務上の結論です。参照による省略記法は、世界を立ち上げるには優れています――ジャンル、時代、光の作法、レイアウト。一貫した同一性には頼れません。特定の顔、ペット、製品、パッケージを保たせる必要があるなら、その要件は明示的な描写か参照画像のワークフローに書くべきで、文化的な引用に預けるものではありません。
もう2点。参照はモデルがそれを知っている場合にしか働かないので、マイナーな、あるいは地域的な参照は静かに凡庸な出力へと退化します。そして有名な図像には権利の問題がついてまわり、プロンプトはそれを解決してくれません。
文字レンダリングが見出しの数字になった理由
2.6 の発表内容のうち、Microsoft が単独で切り出した数字は文字でした。+91 Elo、全体の +79 Elo を上回ります。これは意図的な強調で、サンプルがその理由を説明しています。

見出しの綴りを正しく出すのは、簡単なほうの半分です。上のポスターはさらに、アクセント付きのフランス語地名、格付けのアスタリスク、カンマ区切りの日付、そしてもっとも重要な階層を保っています。日付行は従属、見出しは主役、イラストが上部3分の2を占めます。綴りが完璧でも、すべての文字ブロックに同じ視覚的重みを与えるモデルの出力は、やはり使えません。
ここは画像生成のなかで実務にもっとも近い部分であり、2.5 ページのパートナーの声がここに集中しているのもそのためです。WPP のグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー Rob Reilly は、自然言語での編集と並べて文字の正確さを「真のブレークスルー」と呼びます。Shutterstock の Vanessa Salvo は、意図を「一貫した、実運用に耐える出力へ翻訳」できるかどうかを指標に置きます。パッケージ、ポスター、メニュー、キャンペーン素材は、写実性より先にタイポグラフィで落ちます。
「Arena 2位」がわかること、わからないこと
Arena の結果はブラインドの人間による選好比較なので、大きな Elo の伸びは、混在したプロンプト集合で出力が好まれたという実際のシグナルです。本物の結果ですし、2か月ほどで +79 Elo は速い伸びです。
同時にそれは単一の集計値でもあります。Microsoft の発表はカテゴリ別の Elo も、信頼区間も、プロンプト集合の規模も、上位にいるモデルの名前も公開していません。2026年8月14日時点で、パイプラインに組み込む前に必要な情報のいくつかは未公開のままです。
- 2.6 の1枚あたり API 価格
- ネイティブおよび最大の出力解像度
- 生成と編集のレイテンシ
- 「近日対応」とされた複数参照とグラウンディング
- Elo 差の裏づけとなる技術レポート
メモ
総合順位は、そのモデルが自分の案件に合うかどうかを教えてくれません。非ラテン文字の文字量の多いパッケージ、12カットで揃えなければならない顔、ゲームUI用の透過素材は、それぞれ別の試験です。総合で首位でも、そのどれかで負けることはあり得ます。
2.6 について誠実に言えることは狭く、それでも有用です。Microsoft はこのファミリーを速く回しており、その伸びを見せ場ではなく商用の出力――文字、ポートレート、製品、ブランド――に向けています。
この4パターンを OmniArt で使う
MAI-Image は現在 OmniArt の画像ワークスペースにはありません。プロンプトのパターンのほうはあり、しかもモデルを選びません。自分の案件が4つのうちどの仕事なのかで選んでください。
| パターン | 何のためか | OmniArt での出発点 |
|---|---|---|
| 長い構造化プロンプト | 服装・小道具・色・数が照合される案件 | GPT Image 2 |
| 比喩を使った短い積み上げ | シネマティックな単写真とムードの探索 | Seedream 5.0 Pro |
| 1回1変更の編集 | 製品のカラー展開、要素の追加、制御した移動 | Nano Banana 2 |
| 参照の省略記法+明示的な同一性 | 被写体を保つ必要があるシーン構築 | Seedream 5.0 Pro と参照画像 |
| 確定前の低コストな反復 | プロンプト構造を安く試す | Qwen Image |
有効な練習をひとつ。上の屋上のプロンプトをそのまま走らせ、次に色を形容詞に置き換え(「a pink bottle」「a green wand」)、数を「some bubbles」に置き換えてもう一度走らせます。2つの出力の差が構造の価値であり、しかも発表ページのギャラリーではなく自分のモデルで測った値です。
レイアウトと写実性の最新の一騎打ちはGPT Image 2 と Nano Banana 2 の比較を、参照画像による一貫性はSeedream 5.0 Pro のリリース解説を、初期ラフの低コストな道筋は Qwen Image ガイドをどうぞ。同種の最近のリリース解説としては、同じ週に似た Arena の主張を出した Grok Imagine Image 2.0 があります。
よくある質問
MAI-Image-2.6 とは何ですか?
MAI-Image-2.6 は Microsoft AI が2026年8月10日に発表したテキストから画像のモデルです。Microsoft は Arena のテキストから画像のリーダーボードで2位に入り、MAI-Image-2.5 から全体で +79 Elo、文字レンダリングで +91 Elo 向上したとしています。
MAI-Image-2.6 は MAI-Image-2.5 とどう違いますか?
Microsoft は測定されたすべての Arena カテゴリで向上したとし、特に文字レンダリング、ポートレートと3D、製品・ブランド・シネマティックにわたる商用および写実出力の仕上がりを挙げています。複数参照の入力、より豊かなグラウンディング、推論・フォーマット・解像度への制御は「近日」とされ、詳細は公開されていません。
MAI-Image-2.6 はどこで使えますか?
Microsoft の発表によれば、Arena でテキストから画像として利用でき、同じ週の後半に MAI Playground へ、その後 Microsoft Foundry や他の製品へ順次展開されます。
MAI-Image は OmniArt で使えますか?
使えません。OmniArt の画像モデル一覧に MAI-Image はありません。本記事のプロンプトのパターンはモデルを選ばないので、OmniArt が提供する画像モデルで試せます。
MAI-Image-2.5 のファミリー構成は?
3種類です。オブジェクトの一貫性と視覚的推論に向く MAI-Image-2.5-Pro、高品質な生成と制御可能な編集に向く MAI-Image-2.5、そして旗艦モデルの半額未満で実運用に耐えるとされる MAI-Image-2.5-Flash。
このプロンプトのパターンは他のモデルでも通用しますか?
します。色名、明示的な数、囲い込んだ背景ブロック、スケールの基準、1回1変更の編集、構図を担う比喩は、いずれも一般的なプロンプトの技術です。モデルごとに違うのは、それぞれがどれだけ安定して守られるかで、実際に使うモデルで試す価値があります。
OmniArt で始める
OmniArt の画像ワークスペースを開き、ひとつの案件を上の4パターンのうち2つで走らせてみてください。同じ発想の、長い構造化版と短い積み上げ版です。被写体は同じにして、プロンプトの形だけを変えます。この1回の比較が、どんなリーダーボードの順位よりも自分のモデルについて多くを教えてくれます。
そこから先、編集は別の作業として扱います。まず1枚を確定し、次に1つのプロンプトで1つだけ変え、毎回のあとに気にしている細部を確認する。OmniArt は画像・動画・音声・音楽のモデルをひとつのワークスペースにまとめているので、確定した静止画はツールを変えずにそのまま動きへ持ち込めます。そして新しいモデルが一覧に加わるとき、すでに身についたプロンプトの書き方はそのまま一緒に持っていけます。
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